庶民の人気!「奴凧」で溜飲下げる。
まずは奴凧の「奴」という言葉から、説明しよう。この「奴」というのは「家来」とか「下僕」といった意味を持つんだよね。元々は「家つ子(やつこ)」が語源で、江戸時代では武家の奴僕(ぬぼく)の人達のことを指すんだ。撥鬢(はちびん)・鎌髭(かまひげ)の姿で、槍(やり)などを持って主人の供をした折助(おりすけ=さむらいの家で使われる下男)の人達をそう呼んだんだ。
その「奴さん」がなぜ凧になったか?それは当時、虐げられていた江戸の町民たちが、蔑まされていた奴の絵凧を武家屋敷の上に飛ばし、“低い身分の奴が、お偉い武士を見下ろしちゃうぜ!ザマーミソシロ!”・・・と、爽快気分感を奴凧をあげることで味わっていたらしいよ。いわゆる現代で言うストレス解消だね。まさに江戸版ストレス発散!「スカっと爽快、奴凧。」といったところかな。
ちなみに、夏においしい「冷や奴」の「奴」は、この奴さんが語源なんだよ。奴の着物の左右にある「四角い紋」があるでしょ。あれがその由来。四角く切った豆腐のカタチが、その奴の紋に似てるから、そう呼ばれるようになったんだよ。江戸時代の参勤交代では、お供の数が格によって決められていたんだけど、じつはその行列役の人数合わせに臨時に雇われる奴さんもいたんだ。そして、どの藩に雇われてもいいように、奴は正方形を並べた紋にしてたということだよ。
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