公式ガイドカメラマンが語る大井川鐵道の魅力とは

森島 吉直
1975年静岡県生まれ、日本大学芸術学部卒。(株)しずおかオンライン出版制作部所属カメラマン。「大井川鐵道公式ガイドブック」を担当。本誌制作では約1年間に渡り、撮影。現在でも大井川鐵道を訪れ、魅力を発掘する日々を過ごす。

鉄道撮影の準備とポイント

1.服装と持ち物

撮影ポイントのいくつかは、足場の悪い場所がありますので、動きやすく汚れても良い服装が適しています。特に、河原では、靴はくるぶしまで隠れるものの方が安全。
また、雨風に備えて、レインコート、ウィンドブレーカーなどがあると安心です。

さらに、重宝するのが、植木の剪定用はさみ。
夏になると、草木が生い茂っている事があり、これがあると助かります。
ただし、切るのは雑草だけ。
木の枝を落とすことなど無きよう、お願いします。

2.時刻表

大井川鐵道ホームページには、SL運転日と時刻表が掲載されています。
プリントアウトするなどして、携帯することをオススメします。
さらに、大井川鐵道主催のイベントなどで時々販売される「列車運行図表」(写真)は、各駅のSL列車のおおよその通過時刻、列車交換の時間、交換駅などの情報も記されていて、大変便利です。

3.撮影場所への到着時間

通過時刻の30分くらい前に到着できると良いでしょう。
機材を準備し、構図を考え、露出を確認したりしているとあっという間に時間が過ぎていきます(笑)
大井川鐵道の列車たちは、比較的ゆっくり走っていますが、それでも、通過は一瞬の出来事です。シャッターチャンスを逃さないためには、余裕を持った行動が不可欠です。

4.定番の列車写真を撮ってみよう!

走行写真の中でも、定番は作例のような0度撮影ではないでしょうか。
これは、カーブの外側から望遠レンズを使って撮影をすることで、列車の真正面を捉えます。レンズは、150mm以上で迫力が出ます。
置きピンといって、シャッターを押す場所にピントを合わせて置き、列車がそこを通過する瞬間にレリーズします。
地図を見ながら、どこで撮影が出来るか、探してみましょう。

5.煙の出そうなポイントを予測する

蒸気機関車は、勾配の手前からボイラーの圧力規定値を保ち、力行運転に移ります。このときに、たくさんの煙が排出されます。
等高線付きの地図を読むとその場所の高低差がわかるので、どこで煙が出そうか予測することができます。
有名なのは、下り列車(千頭行き)の川根温泉笹間渡駅手前の第一橋梁。列車はこのあたりから助走をかけ、一気に地名駅までの急勾配を駆け上がるのです。

6.レンズ交換の楽しみ

デジタル一眼レフカメラの中には、古い時代のレンズをそのまま利用することができるものがあります。あるいは、マウントアダプターを利用して他社製のレンズを取り付けて使う方法もあります。オールドレンズを使うとそのレンズが持つ独特の空気感を表現することができます。
また、同じ焦点距離のレンズでも、最新のレンズは描写特性がデジタルに最適化されているため、ヌケやシャープ感、解像力が高いのです。

7.地域の皆さん、撮影仲間にあいさつを

大井川鐵道沿線の撮影地は、人が集まっても、どの場所も和気あいあいとしていますので、初心者の方でも安心です。ですが、撮影場所に着いたときに、先に来て準備をしているカメラマンがいたら、あいさつをしましょう。
ベテランのカメラマンさんと仲良くなれたら、思わぬ情報が得られるかもしれません。

また、地域のみなさんにとっては、沿線は生活の場です。
くれぐれもゴミを落としたり、私有地やお茶畑に立ち入ることがないようにしましょう。
ゴミが落ちていたら、拾って帰るのがマナーです。

※掲載内容は2012年4月取材時の情報に基づいており、最新の情報とは異なる場合があります。
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