しずおか週末さんぽを楽しむ♪ケーブルテレビのトコチャンWEBから静岡のおでかけスポットをご紹介

vol.27 6月号

vol.276月号掲載

~長きにわたり支持され続けてきた極意とは~百年続く老舗の心意気

徳川家康公のお膝元としてさまざまな商売が発展してきた静岡には、多くの商人や職人が集まり店を構えた。時代とともに淘汰されていったものがある一方で、今もなお当時のままの製法や技術を守り伝える店がある。今回は、創業100年を超える静岡の老舗をご紹介。継承されてきた伝統の逸品から、その看板を脈々と守り続けてきた人々の心意気や使命感に迫ります。

価格はすべて税込みです。掲載内容は2025年5月19日時点の情報に基づいています。最新の情報は各施設にお問い合わせください。

フリーペーパー「月刊トコチャン」の『しずおか週末さんぽ』に登場した場所をご紹介します。ケーブルテレビでも放送中!

~長きにわたり支持され続けてきた極意とは~ 百年続く老舗の心意気

徳川家康公のお膝元としてさまざまな商売が発展してきた静岡には、多くの商人や職人が集まり店を構えた。時代とともに淘汰されていったものがある一方で、今もなお当時のままの製法や技術を守り伝える店がある。今回は、創業100年を超える静岡の老舗をご紹介。継承されてきた伝統の逸品から、その看板を脈々と守り続けてきた人々の心意気や使命感に迫ります。

マルイエ醤油川根本家

マルイエ醤油川根本家

▲①明治43年に発行された麹製造の許可証 ②趣ある蔵風の建物。店内には囲炉裏もあり、天井や柱の木組みに歴史を感じる

自然豊かな川根町家山に、麹屋として誕生して115年。その昔、醤油や味噌はそれぞれ家庭の味があり麹はどの家にも欠かせない材料だった。そこから時代は変わり、調味料は買うものに。「マルイエ醤油川根本家」が酒樽で醤油造りを始めたのは、物流が整備されていなかったこの地の食卓を支えるべく、近所の酒屋から譲り受けたことから。醤油・味噌それぞれのおいしさのカギを握る麹作りは、今でも24時間体制で2時間ごとに温度を管理し、そこから醤油は約1年半、味噌は約1年熟成させてようやく完成する。醤油・味噌ともに市販品と違い塩味は「ツンとした感じがなくまろやか」と4代目の村松さん。「丁寧に仕込んだ麹には甘みがあり、素朴ながら懐かしい味に仕上がります。近年は気候の変化もあり、神経と体力を使う仕込みですが、毎年遠方から買いに来てくださるお客様もいるので、守っていくことが大切だと痛感します」と穏やかに語る。

マルイエ醤油川根本家
▲創業当時から使い続けている杉の醤油樽がずらり並ぶ
マルイエ醤油川根本家
▲昭和の頃から変わらぬ姿の「手造り醤油 2合美濃焼徳利入り」 1,350円(左)、「手造り味噌 竹皮包み 500g 」500円(右)は、贈答品として重宝されている
店名 マルイエ醤油川根本家(マルイエしょうゆかわねほんけ)
お問い合わせ 0547-53-2212
住所 島田市川根町家山796
営業時間 10:00~18:00
定休日 水曜、ほか休日あり
駐車場 2台

ひもの 奥和

ひもの 奥和

▲①4~5月に獲れる対馬のアジが一番おいしい ②天日干しは、11月から翌年5月末までの期間限定。その他の時期は、11月の気候に合わせた設定の涼風除湿乾燥機を使う

狩野川の水、山と海が生み出す風。この地形の恵みを生かし、150年にわたり干物作りを続けてきた「奥和」は、魚本来のおいしさと、安心・安全な食を届け続けている。直営店の「和助」でいただける、備長炭で焼いた干物は、口の中でふんわりと解け、濃厚なうまみが広がる。塩と水のみを使い、余計なものを一切加えない昔ながらの味わいだ。脂ののった旬の魚を凍結保存し、井戸から汲み上げた海水でじっくり解凍。職人の手で一枚ずつ丁寧に開く。その手さばきはリズミカルで実に見事。味の決め手となる漬け汁は、沖縄の塩を使い、長年継ぎ足してきた「塩汁」。魚の種類や大きさに合わせて、塩加減や漬け時間を細かく調整している。「技術の進歩で業界は大きく様変わりしていますが、マニュアル化できない微妙な塩加減や干し具合は、職人の勘と経験がものを言います」と話す奥村さん。その思いは心地よい海風に乗って、これからも受け継がれていく。

ひもの 奥和
▲にがりを含んだミネラル豊富な沖縄の塩「シママース」を使用
ひもの 奥和
▲直営店の「和助」で好きな干物を備長炭で焼いていただける
店名 ひもの 奥和(ひもの おくわ)
直営店 ひもの和助(販売・食事)
お問い合わせ 055-962-0756
住所 沼津市下河原町3-8-7
営業時間 販売9:00~16:30/食事11:30~14:00LO
定休日 日曜
駐車場 8台

手づくり 御殿場ハム

手づくり 御殿場ハム

▲①人気の3種を味わえるバラエティセット1,188円 ②フランクフルトを釜で茹でる作業。薪を使って湯を沸かすため、火加減や湯の温度を見極めるのが職人の腕の見せどころ

豊かな雪解け水と涼しい気候、富士山麓に広がる高原地帯・御殿場では、明治時代から畜産が盛んに行われてきた。この地で、養豚農家を営みながら陸軍御用達の精肉店として創業したのが「御殿場ハム」の始まりだ。昭和の初め頃には、多くの外国人が避暑地として御殿場に別荘を構えるようになり、その中の一人、ドイツ人のフリードリヒ氏からハム作りを学んだことが、現在の製法の原点となっているそう。かつて豚舎のあった場所は、今は住宅地に姿を変えたが、当時から変わらず使われているのが、薪で湯を沸かす五右衛門風呂のような大きな釜と、金庫のような重厚な扉の付いた燻製釜。決して広いとは言えない加工場で、5人の職人たちが息を合わせ、朝早くから手仕事を重ねている。「ハム、ソーセージ、ベーコンなど、それぞれの塩加減や茹で時間、燻製の温度管理は、昔から受け継がれたレシピ。特に、養豚農家だったからこそ肉の目利きには誇りを持っています」。

手づくり 御殿場ハム
▲燻製釜に3~4日吊るし、うまみをギュッと凝縮
手づくり 御殿場ハム
▲機械挽きの肉に、手で刻んで歯応えを残した肉をブレンドし、天然腸に詰めたソーセージ
店名 手づくり 御殿場ハム(てづくり ごてんばはむ)
直営店 御殿場ハム インター店(販売)
お問い合わせ 0550-84-8641
住所 御殿場市新橋737-3
営業時間 9:30~19:00
定休日 火曜
駐車場 3台

やまじゅう(ヤマ十増田商店)

やまじゅう(ヤマ十増田商店)

▲①工場併設の直売所には種類豊富な鰹節が並ぶ ②「手火山式焙乾」で使用する木製せいろは、手直しして使い続けているという

港町・焼津で水揚げされた鰹を昔ながらの製法で加工する、創業138年の鰹節店。かつて焼津には多くの鰹節加工所があったものの現在は10件程度に。さらに、手間のかかる「手火山式」を採用しているのは全国でも数軒だという。手火山式とは薪の燻煙と熱で鰹節を乾燥させる手法。日に1tほどの鰹を朝から4~5人の職人で捌き、茹で、加工している。4代目の息子である増田さん曰く「手間はかかるものの、手火山式の鰹節は香りが段違い。ゆっくり火を入れることで水分がしっかりと抜け、削ったときにフワフワと燻製の豊かな香りが引き立ちます」。とはいえ、昔と比べると鰹の鮮度や気候の違いなどの外的影響を受けるのも事実。「同じやり方を続けるだけではなく、時代や状況に合わせベストな技術に改善していきたい。健康志向の高まりで無添加食品が再度注目される今、ブラッシュアップしながら伝えていくことが大切」と語ってくれた。

やまじゅう(ヤマ十増田商店)
▲最大の特徴である「手火山式焙乾」。焦げないようにせいろを入れ替えながら、2時間ほどかけゆっくりと燻していく
やまじゅう(ヤマ十増田商店)
▲鰹の骨を抜く「水骨」はすべて手作業。この手間が見た目や品質を左右する
店名 やまじゅう(ヤマ十増田商店)(やまじゅう(やまじゅうますだしょうてん))
お問い合わせ 054-628-3677
住所 焼津市小川新町5-4-9
営業時間 9:30~17:00、土9:00~11:30
定休日 日曜・祝日、ほか休日あり
駐車場 8台

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