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Gは最近、“お宝映像さがし”にハマっていた。
海外の動画配信サイトで、たまたまアイドルの素顔を映した“流出”映像を見つけて以来、そうした話題を追うのが面白く、ついつい病みつきになってしまったのだ。近ごろは日本国内のサイトも随分増えて来た。わかりやすくていい反面、刺激的な映像は少ないな…そんなことを考えながら、今日もGはサイトからサイトへクリックして回っていた。

あるサイトに行き着いた。
少し前の話になるが、ある芸能人のスキャンダルについて、関係者が事情を語るという映像が掲載されたことがあった。放映したTV局の抗議により今は見ることができないが、そのサイトでは秘蔵映像として確保してあるのだという。
Gは胸が高鳴った。掲示板サイトなどで話題になって知ってはいたが、結局見ることができないでいたからだ。

「ダウンロードはこちら」

問題の映像のサムネイルとともに、そのリンクが張られていた。クリックする。長ったらしい「利用規約」が出て来た。手慣れたもので、ろくに読みもせずに「はい」を押した。よく考えれば、そこで利用規約が出るのも妙なのだが、その前後に利用料金や個人情報などを要求するような表示もなかったので、特に注意を引かれることもなくクリックしてしまったのだ。「利用規約」の中に、さりげなく料金が記されていたにも関わらず…。

ダウンロードが始まった。と思う間もなく、別のポップアップウインドウが立ち上がった。その表示を見て、Gの表情は凍り付いた。

「このパソコンの個人情報を収集しています...」

プログレスバー(ダウンロードの進捗を示す横棒)が刻々と動いて行った。
Gが何もできずにいる間に、また新しいウインドウが開いた。それを見て、Gはさらに仰天した。

「情報の取得が完了しました。

規約に従い、所定の料金をお支払いください。
ご利用料金は、30,000円です。」

Gはうろたえた。
規約にそんな一文があったっけ? 言われてみれば、金額の表示があったような気がする。
確かに、「はい」は押した。
しかも、どうやら自分が特定できるような情報も押さえられてしまったらしい…逃げることもできない。

払うしかないのか、30,000円も?
Gは呆然とするばかりだった。

この事例は、実際にあった“ワンクリック詐欺”の事例を脚色、再構成したものです。
シマンテックでは、ウイルスやワーム、スパイウェアなどの不正プログラムからパソコンを守る「Norton Internet Security」を用意しています。


解説
「ツークリック」でも悪意は同じ。
その手口に乗せられてはいけない。



前回、「ワンクリック詐欺」の事例を取り上げましたが、最近ではさらに巧妙さを増した「ツークリック詐欺」が横行しているようです。「ワンクリック」が、あるサイトでリンクをクリックした途端に不当な料金などを請求される手口であるのに対し、「ツークリック」は、今回の事例のように「規約の確認」というワンクッションを置くことによって、利用者に後ろめたさを感じさせ、より支払いやすくするような手順を加えたところに特徴があります。
しかも、「パソコン内の個人情報を収集しています」等のウインドウを表示し(実際に収集しているわけではなく、単なるアニメーションの場合が多いという)、利用者にさらにプレッシャーをかけるという念の入った手口もあるようです。

前回も書いたことですが、一般的には、一方的な通告だけでは契約関係は発生せず、料金の支払い義務も生じないと考えられますので、不用意にメールなどで返答したり、料金を振り込んだりしないようにしたいものです。



事件の教訓

「騙し」「脅し」に「心理戦」、
…詐欺はあらゆる手口を使って迫ってくる。



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