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1月17日、T夫は、あるワームが発見されたというニュースを目に留めた。
大きな危険をはらんだワームの情報ならシマンテックからメールでいち早く届くはずだし、そう特別なものではないな…T夫はそう思い、念のためウイルス定義ファイルが更新されているのを確かめた後、ニュースのことは忘れてしまった。
「2月3日に、文書破壊ワームが起動する!」
このセンセーショナルなニュースにT夫が再び目を奪われたのは、それから2〜3日経ってからだった。内容を読んでみると、17日に発見されたワームのことを言っているようだ。
それは、ポルノ画像の紹介を装った電子メールに添付されるワームだった。
投下する感染ファイルの名称からBlackmalと呼ばれたり、ランダムに付与されるタイトルにちなんでKama Sutra(カーマスートラ)と、あるいはMyWife、Nyxemと呼ばれたりした。騒ぎが大きくなってからは、混乱を避けるためにCME-24という共通名称もつけられた。
「…そのワームはWindows上で動作する。セキュリティ各社によると、感染すると毎月3日に主要なウイルス対策ソフトを起動できないようにし、.docや.xls、.pdfといった拡張子を持つ特定のファイルを“error”という文字列で上書きするように作られている。そしてパソコン内から収集したすべてのアドレスへ自分自身を送信する…」
直近の「3日」である2月3日が近づくと、ニュースは繰り返しこのワームの危険を訴え始めた。わずか1週間の間に、感染パソコン数は50万とも70万とも言われた。
いったい、2月3日になったらどんな被害が広がるのだろうか…?
T夫は、こうしたニュースが大きく報道されることに、どことなく違和感を抱いていた。
シマンテックのウイルス情報を見ても、危険度は「2」。リスクや被害状況は「中」で感染力は「高」とされている以上、まったく安全ということではもちろんないが、さほど大騒ぎするほどのものでもない気がする。2月3日という明確な期日や、多くの人が所持しているであろうファイルが破壊されてしまうという、ある意味“わかりやすい脅威”にマスコミが飛びついた恰好なのだろうか…?
そして2月3日がやって来た。
被害は、幸い散発的なものだった。感染パソコンの台数は事前に言われていたものより少なく、海外ではある程度の被害が確認されたが、日本では“空振り”とする声も上がった。
な〜んだ…と、T夫は一人ごちた。
だが待てよ、2月3日が“空振り”だったからって、3月3日も大丈夫と保証されたわけじゃない。他にも、もっと危険なワームが来るかもしれない。なのに、みんなが「な〜んだ」と思って対策を怠ってしまったら…?
T夫は、なんとなく「狼と羊飼い」の寓話を思い出していた。
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この事例は、実際にあった“迷惑メール”の事例を脚色、再構成したものです。
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シマンテックでは、メールソフトの設定と連携してスパムメールを受け取らないようにできるノートン・アンチスパムを用意しています。このソフトは、総合ウイルス対策ソフトウェア「Norton Internet Security 2006」に同梱されています。 |
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解説
ウイルス情報への接し方は、 脅えすぎないこと・安心しすぎないこと。
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このワーム(シマンテックでの名称は「W32.Blackmal.E@mm」)の一件は、まだ記憶に新しいことと思います。一部で全世界レベルの攻撃があるかのような観測が流れた一方、そのような可能性は低かったとする声もありました。そして結果は、後者の見方に近いものでした。ウイルスやワームが本当に危険なのかどうか、その見極めは簡単ではありませんが、冷静な対応が必要なのは事実です。
必要以上に騒ぎ立てないこと、そして“空振り”だったからと言って警戒を緩めないこと。
今回なにも起こらなかったからと言って、次も起こらないとは限らないのです。
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慌てず騒がず、まずは基本 (ウイルス対策ソフトを正しく使う、怪しいファイルは開かない) に忠実に。

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