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ある日、A子は妙なメールを受け取った。
それは、「A子ちゃん、メールありがとね。***に住んでるんなら近いから一度会おうか!」というぶしつけな内容だった。相手は見覚えのない名前で、もちろんメールを送った覚えもなかった。それにしても、なぜ住所を知っているんだろう…? A子は、薄気味悪い思いでメールを閉じ、削除した。
しかし、ことはそれだけで終わりではなかった。複数の知らない男からメールが舞い込むようになり、内容は下品な単語を並べたものだったり、ぞんざいな口調で交際を迫るようなものであった。いずれも思い当たる節はなく、下手に反応してさらに絡まれでもしたら嫌なので、A子はそれらを無視し続けた。
しかしそれは止む気配がなく、A子は次第にメールソフトを開くのさえ憂鬱に感じるようになっていた。このままではノイローゼみたいになってしまう…A子は意を決して、原因をつきとめるためにメールをいくつか読んでみることにした。
するとあるメールに、「馬のぬいぐるみがなきゃ眠れないなんて、かわいいね」というくだりがあることに気が付いた。部屋にそんなぬいぐるみが置いてあること、それを横に置いてベッドに入ると落ち着いて眠れる、子供の頃からの癖。A子ははっと気が付いた。そんなことを知っている人間は限られている…一人暮らしのA子の部屋で、パソコンの設定をしてくれた元・彼…。パスワードだ。
彼とは、金銭にルーズなところが嫌で1年ほど前に別れたのだが、ここ数カ月、ヨリを戻せと迫られていた。突っぱねていたら、ストーカーのようになってしまったらしい。A子のアドレスを使って、誰彼かまわず誘うようなメールを打っていたのである。
A子は初めてメールパスワードを変更し、彼を遠ざけるために弁護士に相談しているところである。
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この事例は、典型的な不正アクセス事件を脚色、再構成したものです。 |
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警察庁によると、2002年上半期(1〜6月)に発生し、検挙に至った不正アクセス事件27件のうち23件が、「他人のIDやパスワードを使ってアクセスする"識別符号窃用型"」と大多数が占めています。なお犯行の動機としては、元交際相手や元勤務先などへの嫌がらせや仕返しが多い、とのことです。
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解説
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パスワードは、パソコンやメールを使う本人を確認するための、基本的な手段のひとつです。しかしこの大切な手段を軽視している人は少なくありません。忘れないように付せんに書いてディスプレイの脇に貼っておく。単純な数字のならびや誕生日といった推測しやすいものを使っている。IDや名前とまったく同じものを使っている。今回の事件のように、何かの理由で他人が知ったものをそのまま使い続けている…。
いいえ、長い単語を使っています、1カ月に一度はパスワードを変更しています、という人もいるかも知れません。しかしそれだけでは不十分。パスワードを破ろうとする人は、相手の生活や趣味嗜好から類推したり、辞書に載っているような単語を総当たりで試す「辞書攻撃」などを仕掛けて来ます。
簡単に破られないパスワードを設定するには、無意味な文字列やオリジナルの単語、あるいは「A1B2C」のように意味のある単語と意味のある数字を入れ籠にする方法、「のちもらみい」(かもめkamomeをカナ入力で打つ)等々の方法で、一見無意味に見えるが覚えやすい語句を使うといった工夫をするといいでしょう。もちろん、パスワードを時々変更してしかも人には絶対教えない、という基本の基本もお忘れなく。
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パスワードは彼氏(彼女)よりも大事!?と思いましょう。

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